タスマニア産建材製品 日本の購入企業への陳情書に世界のNGOが署名

プレスリリース

2012年10月17日

タスマニア産建材製品 日本の購入企業への陳情書に世界のNGOが署名

JATANでは昨年来、タスマニア現地のNGOと協働で、タ・アン・タスマニアの木材需要による天然林伐採の問題について日本側でキャンペーンを展開しています。

森林保護をめぐっては現在も業界側と保護団体側との和平協議が進められていますが最終的な合意にまでは至っておらず、依然として保護価値の高い森林、オールドグロス林が伐採されている状況が、今年8月のJATANによる現地視察でも確認されています。

こうした状況を憂慮する世界及び日本の森林保護・林産物消費に関わる多くのNGOが、日本の購入企業宛の陳情書に連署という形で私たちの取り組みに呼応してくれました。

送付先の企業はつぎの5社です。

永大産業

パナソニック

ジャパン建材

積水ハウス

ダイワハウス

《以下、陳情書本文》

タ・アン社製合板製品の顧客企業御中

この書状に署名を連ねている私たち団体および個人は、御社と、熱帯林行動ネットワーク(JATAN)、マーケット・フォー・チェンジ(Markets for Change)、オブザーバーツリー(ObserverTree)、ヒューオン渓谷環境センター(HVEC)のダイアローグにおいて環境四団体への支持を表明いたします。タ・アン(Ta Ann)は豪州タスマニアで保護価値の高い森林(HCVF)を伐採し、マレーシア・サラワク州では持続可能性が疑われる森林施業に関わっています。私たちは、このようなタ・アンによる木材製品を購入されることで日本の企業が及ぼそうとしている影響について懸念している次第です。

御社が木材調達に関わる環境・社会面の高い基準をつくられていることを評価しております。しかしタ・アン・タスマニアの製品を購入されることでその基準の高さは損なわれるのではないでしょうか? 製品の原料は植林由来ではありませんし、環境に良いなどと表現できるものではありません。

日本の建材市場で売られている複合フローリングの基材用合板のために、タスマニアの荘厳な森が毎日のように伐採されています。57万2,000ヘクタールの森林は独立した第三者グループによる検証を受けました。検証の結果によれば、保護が提唱されている森林の大部分については、「オーストラリアの国家遺産もしくは世界遺産の基準を一つ以上満たしている」とされ、「公有の森林地帯が持つ多くの自然遺産の価値を訴え、保護する最後の機会を体現している」と述べられています 。

タ・アンによる木材の供給要求が上記エリア内での伐採を促していることが公的な文書からも確認されています。御社はこうした木材製品の顧客企業であると私たちは認識しております。タ・アンの木材製品が非持続的で受け入れがたいソースに由来するものである以上、御社には製品の取引を停止されることを要望いたします。

私たちはまた、タスマニアの一部環境保護団体と林産業界の間で最近に交わされた「タスマニアの森林木材供給と保護に関する暫定的協定」が確実な森林保護を保証するものではなく、ましてや、いかなる天然林の保護も確証しない合意であることを言明いたします。タスマニアにはいまだ最終的な森林合意は成立しておらず、林業団体によっては協議の参加を中断することで合意プロセスに揺さぶりをかけています。最終合意の期限まであとわずか数週間しか残されていません。「暫定的協定」に多くの欠陥が認められる以上、仮に或る合意が達成したとしても、森林の保護という点で満足すべき内容となる保証はまったくないのです。

オーストラリア林業基準(AFS)を承認しているPEFC森林認証は、タ・アンの製品を含むオーストラリアの林産物の環境性能を保証するにはまったく不十分な認証です。保護価値の高い森林が伐採され、サプライチェーンに混入することをなんら妨げるものではないからです。

タスマニアの保護が求められる森林の早急なる伐採停止、確実な保護地策定に対して御社から支援をいただけるようお願いいたします。

最後になりましたが、劣らずに重要なことを申し上げます。最近、一部の商社や建材メーカーがサラワク産木材製品のプロモーションをはじめました。御社が代替材として、マレーシア・サラワク州から由来する木材をもしご検討されるならば私たちの懸念は払拭されることはありません。現地での林産業界が及ぼす環境劣化と住民の人権侵害についてはこれまでに多くの指摘がなされてきましたし、伝統的な土地権への侵害がマレーシアやサラワクでの法廷で証言されています。現地の木材企業は合板製品を国際的なマーケットに提供しています。しかしそうした企業の施業が原因で、先住民が伝統的な土地から強制的に退去させられる事例が後を絶ちません。また、サラワクでの林産業がもたらす環境影響は甚大な規模であります。こうした木材原料の供給が御社の環境・社会面にわたる高度な調達基準を満たすことはないものと確信しております。

敬具

豪州緑の党前党首 ボブ・ブラウン

豪州レインフォレスト・インフォメーション・センター(熱帯林情報センター)

レインフォレスト・アクション・ネットワーク(RAN)日本代表部

地球環境保護NPOレインボー

ウータン・森と生活を考える会

環境=文化NGOナマケモノ倶楽部

特定非営利活動法人 日本消費者連盟

サラワク先住慣習地ネットワーク(TAHABAS)代表 ラモールド・シュー

ボルネオ資源研究所(BRIMAS)

SAVE サラワク河川ネットワーク

サラワク・イバン・ダヤック連合

米国レインフォレスト・アクション・ネットワーク(RAN)創設者 ランディ・ヘイズ

原生林インターナショナル

ブルーノ・マンサー基金(BMF)

ドイツ環境NGO 熱帯雨林保護

タスマニア公衆・環境衛生ネットワーク (TPEHN)

豪州 コードグリーン

豪州 グラウンズウェル・タスマニア

《以上》

英文はこちら
NGOsCosigned Letter to Japan English, 2012. 10.26