ロンドン・オリンピック バスケットボール米国代表のチームUSAトレーニング施設はタスマニア原生林由来のフローリング
(11月8日付け英国インディペンデント紙の記事より抜粋・抄訳)
地球にとって絶滅がもっとも危惧されている野生動物の生息地となっている森林からの木材が、来年のロンドン・オリンピック競技選手のトレーニング施設の建設に使用されようとしている。
樹齢が千年を超えるタスマニアのユーカリ原生林が、国連の世界遺産委員会から繰り返し、保護地にするよう勧告を受けているにもかかわらず依然として伐採され続けている。
こうした森林は、絶滅危惧種として登録されているタスマニアン・デビル(Tasmanian Devil)、巨大淡水ザリガニ(Tasmanian Giant Freshwater Lobster)、オトメインコ(Swift Parrot)に棲み処を提供している。また、同じ森林地域は1平方マイルあたりのカーボン吸収・固定量が地球上で最も多いと指摘する科学者もいる。
しかしオーストラリアの環境保護団体によれば、森林の伐採により採取された木材が、米国代表のチームUSAのオリンピック期間中にトレーニング用に使われるバスケットボールコートを建設するのに使用されようとしている。
イースト・ロンドン大学(University of East London)が建設の企画を担当する「ロンドン・スポーツドック」に使用される木材は、FSCのライバル、PEFC森林認証の基準に従っている。ただしPEFCについては、多くの環境保護団体が適正な伐採を広めるには遠く及ばない認証制度だとして攻撃している。この施設は期間中、チームUSAに貸与されるという。
ユーカリ原生林の伐採は違法ではないといえ環境保護団体は反対している。「マーケット・フォー・チェンジ(Markets for Change)」は6ヶ月に及ぶサプライチェーン調査の結果、問題の木材がタスマニアからロンドン・オリンピック施設に流通していることを突き止めた。「マーケット」の代表、ティム・バーチ(Tim Birch)は、「タスマニアの老齢樹林はタスマニアン・デビル、オナガイヌワシ(Wedge-Tailed Eagle)など絶滅危惧種のかけがえのない生息地を提供しているが、国際的な市場に売りに出される合板製品のために破壊されようとしている」と述べている。「今回、この破壊の痕跡がロンドン・オリンピックまで辿れることがわかった。世界を代表するような米国のスター選手たちが森林破壊に加担する形でプレーせざるを得ないとしたらなんとも悲劇的だ」。
企業が木材の調達方針を見直すことが「非常に重要」とバーチ氏は指摘する。「世界に最後に残されたオールドグロス林の破壊に関わる英国の役割に終止符を打たなければならない」。
保護団体の活動家たちは、マレーシアの製造メーカー、タ・アン(Ta Ann)がオールドグロス林内の伐採施業から得られた木材を使用していることを示すタスマニア州政府の公文書の存在を指摘している。「ヒューオン渓谷環境センター(Huon Valley Environment Centre)」のウィル・ムーニー(Will Mooney)は、「タ・アンが実際にオールドグロス林を使っている否かに関わらず、生息地は破壊され続けている」と述べる。 「かりにタ・アンが合板製品の材料にオールドグロス林木材を使っていないとしても、かれらがタスマニアの森林由来の木材を必要としていることに変わりはない。それがオールドグロス林の伐採、ひいては破壊を招いているのだ」。
※インディペンデント紙のオリジナル記事はつぎのサイトからご覧になれます。
http://www.independent.co.uk/environment/green-living/olympic-athletes-to-train-on-timber-from-endangered-forests-6258751.html#